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研究内容

研究内容/学部生向け

卒業研究に取り組むにあたって

 卒業研究では、化学者のタマゴとして第一歩を踏み出すことになり、これまでの講義や学生実験とは取り組み方が大きく異なります。とことん実験し、じっくり考えることが重要です。発見を見逃さないためには専門的な知識も必要です。大学院では、より主体的に研究に取り組めるよう指導します。今の自分の能力より少し上のことに挑戦する意欲のある人、新しいことに積極的に取り組む意欲のある人、研究を楽しめる人を大歓迎します。みなさんが努力した成果は、点数ではなく、研究成果や自分の力として必ず還元されます。


1.機能性高分子の設計と合成法の開発

 高分子の性質は、モノマーの化学構造だけでなくモノマーの配列や末端基の構造、架橋点や分岐点の有無、分子量や分子量分布にも強く依存します。これらの組み合わせは無限にありますが、その多くは既存の高分子と類似の性質しか示しません。狙いの性能や機能を発現させるには、まずどのような構造の高分子が必要か分子設計することが重要です。また、設計した高分子を実際に作るには、モノマーや触媒の工夫、重合条件の試行錯誤、時には新しい重合法の開発が必要となります。

2.高分子界面の機能化

 表面や界面は、材料全体に占める割合は非常に小さいにも関わらず、濡れ性や反射率など表面や界面に特有の重要な性質を示します。表面のモルフォロジーやトポグラフィーと物性の関係に注目し、自己組織化などボトムアップ型技術を利用する高分子界面の機能化を行っています。例えば、非相溶な2種類のポリマーからなるポリマーブレンド薄膜は、相分離によって特徴的な表面モルフォロジーを示しますが、薄膜から一方のポリマーだけを選択的に除去するとモルフォロジーが大きく変化します。光反応性ポリマーや体積可変ポリマーなどを用いて、モルフォロジー変化に伴う表面物性やその増幅制御、マイクロリンクル形成などについて研究を行っています。

3.高分子材料の設計と評価

 高分子や高分子界面の機能を活かした新しい材料を開発するには、材料設計→材料合成/構築→材料評価の一連の流れが必要です。一度で目標とする性能や機能が得られることはほとんどなく、材料評価の結果を材料設計にフィードバックし、合成/構築、評価を繰り返すことで少しずつ目標値に近づいていきます。例えば、使用後に外部刺激を与えることにより簡単に剥がせる易解体性接着材料の開発に取り組んでいます(下図)。易解体性接着材料は、半導体製造工程などで既に実用化されていますが、資源リサイクルやリユースの観点から近年新しい用途での需要が高まると共に高い性能や新しい機能が要求されています。使用時は高い安定性と強い接着力が求められ、解体時には速やかな接着力の低下が求められ、これら相反する性質をいかに両立させるかが材料開発の鍵となります。ブレイクスルーを目指して、ポリマーと被着体の界面相互作用の解明と制御など基礎研究にも取り組んでいます。1,2の高分子合成や高分子界面の機能化の研究成果を利用した材料設計と評価も行っています。


 ブロックコポリマーの分解や側鎖反応の模式図(左)と粘着材料の剥離強度が低下する様子(右)











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