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研究内容

研究内容


堀邊グループ(堀邊 英夫 教授)

1-1.フィラー分散高分子の温度に対する電気特性

 ポリマーに導電粒子を高充填化させると,温度上昇とともに電気抵抗が増大する。本材料は,常温では低い抵抗を示すが,高温になると樹脂が体積膨張,導電粒子の距離が増大し抵抗が増加する。本材料は回路保護素子に適用される。ポリマーやポリマーブレンド中の導電粒子の分散状態や転移温度の相違,電気抵抗について解析を行っている。

1-2.PVDFの結晶構造制御

 石英ガラスは良好な紫外線透過性を有するが割れやすく高価なため,これに代わるポリマーを開発している。特に,有機ガラスと呼ばれるポリメチルメタクリレート(PMMA)とフッ素樹脂であるポリビニリデンフルオライド(PVDF)をブレンドし,PVDFの結晶構造を制御し紫外線透過特性の向上を図っている。また,溶媒キャスト後のPVDF薄膜から,エネルギー的に不安定な1型結晶(圧電性,焦電性)を優先的に作製する方法の探索を行っている。

1-3.新規リソグラフィー技術の開発

 半導体,液晶デバイスの高密度化は著しい速度で進んでおり,より微細なパターンを短時間で加工するには,高解像度・高感度のレジストの開発が重要である。具体的には,EUV用3成分レジスト(ベース樹脂、溶解抑制剤、酸発生剤)の開発やハーフトーンマスク用多層レジスト技術の開発を行っている。

1-4.オゾンや水素ラジカルとレジストとの化学反応解析(環境に優しいレジスト除去)

 デバイス製造では,レジスト除去工程に有害な薬液が使われている。これを,酸化力の強いオゾンや還元力の強い水素ラジカルを用いることにより,環境にやさしい安全で安心なレジスト除去プロセスを開発する。基礎的には,気相(オゾン/水素ラジカル)−固相(レジスト)の非平衡反応の解析となる。

佐藤グループ(佐藤 絵理子 教授)

2-1.機能性高分子の設計と合成法の開発

 高分子の性質は、モノマーの化学構造だけでなくモノマーの配列や末端基の構造、架橋点や分岐点の有無、分子量や分子量分布にも強く依存する。これらの組み合わせは無限に存在するが、その多くは既存の高分子と類似の性質しか示さない。狙いの性能や機能を発現させるには、高分子の分子設計と新規モノマーや重合法の開発が必要となる。ビニル系モノマーの制御ラジカル重合を中心に、反応性ブロック共重合体や多官能ハイパーブランチポリマーなど機能性高分子の設計と合成法の開発を行っている。

2-2.高分子界面の機能化

 表面や界面は、材料全体に占める割合は非常に小さいにも関わらず、濡れ性や反射率など表面や界面に特有の重要な性質を示す。表面のモルフォロジーやトポグラフィーと物性の関係に注目し、自己組織化などボトムアップ型技術を利用する高分子界面の機能化を行っている。例えば、ポリマーブレンドや反応性ブロック共重合体の相分離と界面物性、光反応性ポリマーや体積可変ポリマーなどのモルフォロジー変化に伴う表面物性やその増幅制御、マイクロリンクル形成に関する研究を行っている。

2-3.高分子材料の設計と評価

 使用後に外部刺激を与えることにより簡単に剥がせる易解体性接着材料”は、半導体製造工程などで既に実用化されているが、環境負荷の低減や省エネルギーなどの観点から近年新しい用途での需要が高まると共に高い性能や新しい機能が要求されている(図1)。使用時は高い安定性と強い接着力が求められる一方、解体時には速やかな接着力の低下が求められ、これら相反する性質の両立が材料開発の鍵となる。易解体性接着材料としての強度評価に加え、ポリマーと被着体の界面相互作用の解明と制御など基礎研究にも取り組んでいる。その他、塗布後に濡れ性変換可能なユニバーサルコーティング材料、優れた熱硬化性を有する低粘度ポリマー、自己崩壊性材料などの設計と評価も行っている。材料評価の結果を高分子合成にフィードバックし、また新たな界面機能を材料設計に活かし、合成/界面機能制御/材料評価の観点から多角的に取り組んでいる。


 ブロックコポリマーの分解や側鎖反応の模式図(左)と粘着材料の剥離強度が低下する様子(右)



学部生へのメッセージ / 卒業研究に取り組むにあたって

 卒業研究では、化学者のタマゴとして第一歩を踏み出すことになり、これまでの講義や学生実験とは取り組み方が大きく異なります。とことん実験し、じっくり考えることが重要です。発見を見逃さないためには専門的な知識も必要です。大学院では、より主体的に研究に取り組めるよう指導します。今の自分の能力より少し上のことに挑戦する意欲のある人、新しいことに積極的に取り組む意欲のある人、研究を楽しめる人を大歓迎します。みなさんが努力した成果は、点数ではなく、研究成果や自分の力として必ず還元されます。










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