工学研究科 化学生物系専攻 小畠誠也准教授らの研究成果が
4月12日付けの英国科学雑誌「Nature」に掲載されました

研究成果の概要
 
「光で屈伸,屈曲する分子結晶 − 超小型アクチュエーター」
 
 長方形あるいは棒状の形をした有機分子からなるフォトクロミック分子結晶(結晶サイズは 10−100マイクロメートル)が,適切な波長の光を当てることにより,可逆にかつ高速に,屈伸(収縮/伸張)あるいは屈曲することを見いだした.これらの分子結晶は,光により歪むことから光歪素子とも名付けることができる.電歪素子はよく知られているが,光歪素子の例は少なく,分子結晶としてはこれがはじめてである.光歪素子は,直接配線を必要とせず光を当てるだけで遠隔操作ができることから,微小ナノ−ミクロ領域で物を動かすマイクロアクチュエーターとして期待される.この研究成果は,九州大学大学院の入江正浩教授らとの共同研究によって得られた成果であり,4月12日付けの英国科学雑誌「Nature」に発表された[1]
 McBride教授による紹介記事も同時に掲載された.[2].また,時事通信社や大阪日日新聞でも記事が取り上げられた.
 なお,本研究成果の一部は,本学重点研究 『ヒューマンアダプティブ・マテリアルの開拓』(代表:電子情報系専攻 中山正昭教授)の分担課題「光機能性有機固体材料の設計と評価」(小畠誠也)として研究を進めており,環境,エネルギー,機能分野から医療分野に至るまで,新規なマテリアルとしてその応用範囲は広がると考えられる.

[1] S. Kobatake, S. Takami, H. Muto, T. Ishikawa, M. Irie, Nature, 446, pp. 778-781 (2007)
[2] J. Michael McBride, Nature, 446, pp. 736-737 (2007)

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